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ブロックチェーンと暗号通貨のモバイルゲームに与える影響について

ブロックチェーンと暗号通貨について、従来の金融市場が破壊されてしまうというのは、広く知られた議論ではあります。しかし、モバイルゲームに対してはおそらく正反対の影響を与えるであろうと考えられます。なぜなら、その技術が現在の市場が抱える多くの課題に対してソリューションとなり得るからです。

事実、数ヶ月前にAtari社が、Animoca Brandsと協業し、人気タイトルである"RollerCoaster Tycoon Touch"と"Goon Squad"のブロックチェーン版を開発するとのリリースを出しました。また直近で、ForteとRippleは彼らのブロックチェーン技術を利用したゲームを開発する開発者に対して100万ドルのファンドを設立すると発表しました。

ブロックチェーンと暗号通貨の登場に関連したこれらのニュースを受け、このような技術がいかにモバイルゲームのマネタイズや設計に対してインパクトを与えうるのかを、考えたいと思います。

でも、その前に

ブロックチェーンと暗号通貨がモバイルゲームへ与える影響について論ずる前に、まずはブロックチェーンと暗号通貨の違いを理解し、これらの2つがどのように利用されているか説明したいと思います。

ブロックチェーンは、ピアツーピアネットワークで繋がった複数のコンピュータにまたがって保存された、トランザクションのデジタル公開記録です。分散された流通データとその信頼性を担保する、本質的な技術およびプロトコルになります。

ブロックチェーンはもともと、webにおける公証人のような、デジタルドキュメントのトラッキングするために作られました。一度ブロックチェーンへ記録されたデータを削除することは不可能に近いです。

暗号通貨は、ブロックチェーンを土台に作られたデジタルまたは仮想通貨を指します。元帳にそれぞれの当事者が保有する仮想通貨の数量が示された、取引のリストをブロックチェーンが保有しています。

ブロックチェーンと暗号通貨を利用するモバイルゲーム

ゲームデベロッパーなら誰しも、収益最大化が望めるマネタイズ設計を備えた素晴らしいゲームを開発したいと思っています。しかし今日の業界においては、収益の大部分はリアルマネーによる課金を必要としています。これは言い換えると、ゲームが暗号通貨への対応をしない理由がないとも言えるでしょう。

ゲーム開発者は、ゲームのアセットを「トークン化」することができます。これがどういう意味かと言うと、ゲーム内経済においてリアルマネーをベースにするのではなく、ブロックチェーンネットワークをベースにし、単なるゲーム内通貨としてではなく、自らの権限においてトークンの価値や存在をリアルマネーと紐づけることができます。ゲームユーザーは、ゲーム内で獲得した暗号通貨を、ゲーム内外で自由に使用・購入・売却・交換することができるようになります。

アプリ内課金の代替手段としての暗号通貨

ゲームの決済手段として暗号通貨を導入することは、サードパーティなどの決済システムの必要性をなくすことができ、その分デベロッパーの収益性が高まります。

プラットフォーマーの運営するアプリストアは変わらず高い料率を取っている中、これらのストアを経由せずに、独自のストアもしくは料率の少ない別のストアやウェブ上で配布するなどの戦略がデベロッパーの間で広がりつつあります。従来、売上の30%はストアのマージンとされてきましたが、ブロックチェーン技術のゲームへの導入が進めば、このような中抜きは不要になるでしょう。

投資

デベロッパーの暗号通貨はゲーム内決済以外でも利用することができるでしょう。IPOと比べ、圧倒的に規制などによる縛りが少ないICO (Initial Coin Offerings)は、新たな資金調達の方法として注目されています。ICOにて、新たに設立した暗号通貨を割安で販売することにより、資金を得ることが可能です。

たとえば、Reality Gaming Groupの共同設立者であるTony PearceがARゲームの資金調達においてICOを行い、3.5億ドルを調達しています。リリース予定のタイトル用にゲーム内通貨を開発し、ICOを行いました。投資家は、通常ローンチ後で獲得できるより、非常に割安でゲーム内通貨を得ることができました。

さらに、ICOの投資家には、限定のアイテムを付与しました。このアイテムはゲームのローンチ後に手に入れることはできませんが、ブロックチェーンを利用してトレードすることが可能となっています。

Crypto-collectibles

ブロックチェーン技術や暗号通貨の獲得は、ユーザーへゲームの主体的な意識を与えるきっかけにもなるでしょう。

たとえば、「剣」というアイテムは、デベロッパーではなく、ユーザーがファイル(=ブロック)を所有することになるため、ユーザーの所有物と考えることができるでしょう。

これらのアイテムは"crypto-collectibles"と呼ばれます。Crypto-collectiblesは以下の3つを保障します。

  1. 対象物はレアであること
  2. 対象物はユニークで、再生不可であること
  3. 対象物は時間経過とともに価値が向上すること

初のブロックチェーン技術利用の暗号通貨獲得ゲームのひとつである、AxiomZenによるCryptoKittiesは、crypto-collectiblesにおける理想的な事例です。Crypto-kittiesのユニークな点は、P2Pシステム上に生きるデジタルデータの断片をコレクションアイテムとした点といえるでしょう。

CryptoKittiesはデジタル通貨ではありませんが、同じ水準のセキュリティを有します。それぞれのKittyは完全にユニークであり、育成者もしくは購入者が100%所有することができます。より大きなコミュニティの承認を得て、ブロックチェーン内のハッシュを編集する以外に複製されたり、破棄されることはありません。

Crypto-collectiblesについては、以下のような使い方もできるでしょう。たとえば、プレイヤー1が、RPGブロックチェーンゲームをダウンロードしたとします。ゲーム内に登場するドラゴンがユニークなアイテムをドロップするとします。プレイヤー1はドラゴンを倒し、アイテムを獲得します。このドラゴンはもう同じアイテムをドロップすることができなくなります。

プレイヤー1は先ほど獲得したアイテムをプレイヤー2へ売ることにしました。ちなみに、このアイテムはユニークかつレアで、時間の経過とともに価値が上昇します。これらの情報すべては、ゲームのサーバーではなく、プレイヤー1とプレイヤー2のウォレットに保存されます。

このアイテムは、繰り返し売買されることによって価値が向上していきます。しかし、その価値は客観的かつ、ゲームのプレイヤーのみが価値を見出すことができるため、このアイテムを所有すること自体に価値が生まれてきます。

まとめ

まだメインストリームのゲームにてブロックチェーン技術は浸透されていませんが、そう長くはかからないでしょう。われわれは、今後さらに多くのゲームにて、暗号通貨やブロックチェーン技術の採用が進むと考えています。

 

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